++スペイン・ウィーン美術旅行記 2001

地中海周辺の地域に見られるイスラム文化にすごく魅力を感じている。例えば、独特の紋様、モザイク、斬新な色彩。ここアンダルシア地方はスペインの中でもかなり色濃くイスラム文化の影響を受けている。ピカソやガウディといったすばらしい芸術家にふれたいと思うと共に、次にスペインに来たならば時の征服者によって作り上げられてきたこの文化の融合を感じたいと思っていた。その傑作というべき建築、メスキータ、アルハンブラ宮殿を見るため、マドリッドから特急AVEに乗りアンダルシア地方へ。

コルドバに着いたらやたらと日本人が。しかも観光客でなくサッカー全日本のサポーター。サッカーにとんと興味のない我々は、全く知らなくて、日本人に事情を聞く始末。この日かなりういた日本人だったに違いない。(でも今度行く時はレアルマドリッドの試合はみたいワ。)

グラナダのアルハンブラ宮殿で長崎から来たという年配の夫婦に出会い、旅の情報交換をした。我々と同じような旅のスタイルの日本人と出会うのはこれが初めて。彼等は我々とは逆ルートで旅をしているらしかった。これからマラガで宿を見つける予定だと話すと「それならフェンヒローラにぜひ行くといい、交通の便もよく、物価も安いとてもいいところ。特に中華がね、安くていいよ〜。」とやんわりとした口調でおっちゃんに言われ、我々の好奇心はそのフェンヒローラへ。

・・メスキータ/Mezquita

メスキータとはスペイン語でモスク(イスラム寺院)のこと。ここはまさにイスラム教とキリスト教が融合した教会だ。
8世紀に西ゴート王国の教会の跡地に建立され、その後3回の拡張を経て、現在の規模になったそうだ。条件の悪い状態で拡張されたため、イスラム教のモスクとしてはバランスもおかしいらしい。16世紀にキリスト教のカテドラルが作られ、時の王カルロス5世は「どこにもないものを壊して、どこにでもあるものを作った」と嘆いたらしいが、結果的にこの教会は、2つの宗教文化が混じりあい「どこにもない建築物」になった。
メスキータで印象深いのは、この赤と白の縞模様のアーチ。彩色のように見えるけど、白い石と赤いレンガを交互に組み合わせて作られている。

ここのオレンジの中庭/Patio de los Naranjos が結構くつろげる。スケッチをしていたら観光客にチップを渡されて、ちょっとびっくりした。メスキータを中心とした古都コルドバは世界遺産。  

・・ユダヤ人街と花の小道/La juderia y Calleja de las Flores

アンダルシアに来たならば、白壁の狭い路地に美しい花々といったこのいかにもスペインな雰囲気はぜひとも味わいたいと思っていたが、思っていたよりこじんまりしていた。しかしラビリンスには違いなかった・・・。スペインではトレドとここにしか残ってないらしいシナゴガ/Sinagoga(ユダヤ教会)もある。
ここは観光客も多く、道も狭くて入り組んでおり、スリなど多いらしいので、行く方はバックには気をつけてね。

なんせコルドバは人情味豊かな所だった。乗るバスがわからなくて、地図や看板を見てもわかんなかったので、そばにいたスペイン人に助けを求めるとそこにいた3、4人全員が待ってましたとばかりに我々の助けになってくれた。ちゃんとバスに乗れると最高の笑顔で送りだしてくれたおばあちゃんの顔は一生忘れないでしょう。

・・アルハンブラ宮殿/Palacio de la Alhambra

アラブ芸術の粋を集めた華麗な宮殿、アルハンブラ宮殿はグラナダにある世界遺産。
大きく分けると、王宮/Palacio Real、カルロス5世宮殿/Palacio de Carlos 」、アルカサバ/Alcazaba、ヘネラリーフェ/Generalifeの4箇所に分けられる。
アルハンブラとは、アラビア語の「アル・ハムラー(赤いものの意)」から来る言葉で、宮殿の壁が赤い漆喰で塗られていたことからそう呼ばれるようになったらしい。

ある本に「もしもかつてこの世に天国が存在したとしたら、それはまちがいなくアルハンブラ宮殿だ。世界七不思議のひとつに数えられることもあるこの宮殿は「コーラン」にある幻想的な「小川の流れる庭」そのものといえよう」と。どこの国にも極楽浄土を作ろうとする権力者はいるもんだ。
でもその水を愛するイスラム文化の思想がうかがえた心地よい水の流れる宮殿だった。

*王宮/Palacio Real

王宮は14世紀に建築。イスラム文化の極致いうべき傑作建築。完成に200年もの歳月がかかっただけある。いろいろ部屋はあるけど、私はアベンセラヘスの間/Sala de los Abencerrajesと2姉妹の間/Sala de las Dos Hermanasの二つが好き。丸天井をうめつくしているモカラベという鍾乳石状の蜂の巣のような複雑な装飾が見事。美しいというか人間技とは思えないその緻密な装飾に圧倒された。

ライオンの中庭/Patio de los Leones はアルハンブラで最も美しい場所といわれる。中央に12頭の石のライオンに支えられた噴水があり、四方は124本の大理石の柱が林立する回廊に囲まれている。柱と柱の間の上部はアーチになっていて、レースのような綿密な紋様が施されている。このライオンの泉の構造は「コーラン」の記述に基づいて作られてるそうだ。でも中庭を回廊で挟むという建築様式はキリスト教の影響。ここはハーレムだった所で王以外の男性は立入禁止だったそう。

柱や壁の装飾は偶像禁止のイスラムの教理に従って、人物や鳥獣ではなく、植物やアラビア文字( 建国者 ムハンマド1世が言ったとされる「アッラーのみが勝者」という言葉)をモチーフにしたアラベスク紋様になっている。

ヘネラリーフェ/Generalife

王の夏の離宮として14世紀に作られ、噴水や水路も調和し、水をふんだんに使った美しい庭園。きれいに刈り込まれた緑の生垣にたくさんの花が咲いていた。水のある景観はすごくなごむ。ここを造園した人ってすごい。

アルカサバ/Alcazaba

アルハンブラ宮殿の中では一番古い13世紀にできた要塞。
今は廃虚になっており全盛期には24の塔があったらしいが、今は右のベラの塔/Torre de la Vela だけ。ここからはグラナダ市内が一望できすばらしい眺め。

カルロス5世宮殿/Palacio de Carlos 」

アラブの王が去って約50年後にカルロス5世はルネッサンス式の宮殿を建設。外観は四角の建物だけど、中は円形の中庭。2階建ての回廊に囲まれていて、1階はドリス式、2階はイオニア式の柱でアラブ式建築とは趣が異なる。ここの中には1階スペイン・イスラム美術館、2階県立美術館になってる。ここは音響がよく、国際音楽舞踏祭の会場になっいる。大指揮者カラヤンもお気に入りだったらしい。

ここはくつろげた。1階の中庭の奥の日陰に座って休憩していたら日なたになってくるので少しずつ移動。気が付いたら元いた位置から柱3本分くらい移動していた。そういえばツアーの団体客も5〜6組は入ったり、出たりしてた。別に何をしてたってわけじゃないけど・・・。


++COSTA DEL SOL++

グラナダで長崎のおっちゃん夫婦に出会ったことで計画にはなかったフェンヒローラなる町に滞在することに。これがまさに正解!延泊するほどよかった。リゾート地なのでのんびりできるのは当然なのかもしれんけど。物価は安いし、便利もいい!ここからマラガ、ミハスヘ日帰りで行ける。しかも今回の旅でいちばん快適な宿だったかも。(日本から予約したホテルは除いて)二つ星ペンシオンのCUEVAS(洞窟の意)。アンティーク電話のコレクターのダミ声のご主人はいい感じだし、初めてのベランダ付きの明るい部屋。そして何軒か隣にネットカフェまであり。
海のそばにはマクドがあって当時日本では確かまだなかったマックシェイカーサラダをスペインにて初めて食べる。(サーモンとエビ)スペインマクドにはガスパチョもある。
あまりの心地よさに長崎のおっちゃん夫婦にお礼が言いたく、真剣に「ナイトスクープ」で探してもらおうとまで考えるが、偶然再会し、いっしょに記念撮影。本当にありがとうございました。

・・ピカソの生家/Casa Natal de Picasso

地中海沿いの町マラガにピカソの生家はある。写真の建物の矢印らへんに入口があり2階までが今は美術館になっている。3階にも行けそうな感じだったが、鎖がされてた。5階まであってなんかピカソの資料室になってるらしい。入れなかったけど。

マラガは空港があるだけに都会。エルコルテもある。
ここに来る途中、フェンヒローラ駅で日本人のスペイン好きのおっちゃんとカメラ好きの兄ちゃんに出会う。私はあんましゃべってないけど、ようしゃべるかなりマイペースなおっちゃんやった。

・・ビブラルファロ城/astillo de Gibralfaro

マラガの町の東側にあるアルカサバ。その上を登っていくとあるビブラルファロ城。イスラム教支配者の城壁の守りとして11世紀に建てられたそうだ。スペイン語で「山の灯台」という名の通り、マラガの町、地中海も一望できる最高の眺め。かなりボ〜っとできる。行った時はやや風がきつかった。

けっこうな距離の坂道を登ってビブラルファロ城まで行ったがよくよくガイドブックを見るとこの坂道はひったくりが出没するらしく歩いて登るのは危険と書かれてあった。そんなこととはつゆ知らず、我々はテンション高めに歌とか歌いながら登っていたような・・・。

・・白い村/Casa de Blanca

スペインといえば白壁の家!というわけで白い町並みのきれいな観光名所「白い村」のミハスへ。フェンヒローラからバスで20分くらい。
サン・セバスチャン通りは土産物屋も多くかなりに賑わっていた。
(ユキのイメージは石切さんの参道。そんな長くないけど坂道やし。)
郷土博物館みたいなのもあり、闘牛場もある。ロバのタクシーもかわいい。観光名所なので日本人がよく来るみたいで、日本語の工芸品の店も発見。のんびりぼ〜っと過しても一日で十分まわれる。

白い壁に赤い花の鉢植がなんとも美しく、飾り方にもセンスを感じる、家の庭もこんな風にならないかなって(白壁じゃないけど)考えながら、母が花が好きなので連れて行ってあげたいなと思った。
丘の上からは地中海が見え、天気もよく白・赤・青のコントラストのある眺めはサイコーだった。

ムデハル様式とモサラベ様式

キリスト教支配下におけるイスラム教徒を「ムデハル」と呼び、彼らによって13〜16世紀に開花したイスラム風建築様式のことを「ムデハル様式」という。キリスト教芸術の諸要素の保存とイスラム装飾の使用が特徴。独特な組積のレンガ構造、馬蹄形アーチ、植物や幾何学紋様の石膏壁面装飾、彩色された化粧小屋組と天井などによって特異な空間を構築した。またムデハル様式の聖堂はモスクのミナレット風の塔をそなえている。

イスラム教徒の支配下にあったスペインは、イスラム文化の影響を色濃く受けている。アルハンブラ宮殿はその代表的な建築物。イスラム文化とキリスト文化は、イスラム支配下時代にあっても、またレコンキスタ(国土回復運動)が強まった9世紀以降も互いに融合し合い、スペイン独特の様式を生み出した。そのひとつがモサラベ様式で、イスラム支配下におけるキリスト教様式のことをいう。「モサラベ」とは本来「イスラム教支配下で生活するキリスト教徒」をさすアラビア語から派生した言葉。

 

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