**ロンドンひとり美術旅行記 2008



2008年11月29日

昨夜も爆睡。今朝もスペイン絵画のダイニングルームで朝食。白パンを頼んだはずなのに、白パンと小麦パンのセットでトーストが出された。7枚切りくらい薄いトーストやけど、食パン4枚も朝から食べられへんし。小麦パンは食べないつもりでいたけど、本当に美味しくないのか?もう一度確かめたくて、一口食べてみる。やっぱり私は白パン派。 今日は地下鉄乗り間違えないぞ!という気合いを入れて、テートブリテンのあるピムリコ駅まで。途中ビクトリア駅でビクトリアラインに乗り換え。今回行きたい所で宿から唯一1本で行けない美術館。

 
こんな感じの標識があってわかりやすい!   英国美術の殿堂、テートブリテン!
特別展はフランシス・ベーコン展。

テート・ブリテンは、1500年代から現代までの絵画を中心としたイギリス美術を時代順に展示している美術館。建物中心部のオクタゴンから左側展示室はHistoric British Art(1500年?1900年)。右側展示室はModern British ArtとContemporary British Art(1900年?現代)、さらにその奥にTurner Galleriesがある。朝イチで行ったせいもあるのか、すいていてゆっくりと鑑賞。時折展示室に私一人、という時もありターナーひとりじめ!みたいな感じで贅沢な時間を過ごす。
近代英国美術、あんまり詳しくないし今まで特別興味もなかった。ターナーやコンスタンブルなどの西洋的風景画をあんまり面白いと思ったことがないし、どっちかというとウィリアム・ブレイクやビアズリーなどのイラストレーションに近い幻想的な作品が好き。でも今回行ってラファエル前派がなんとなく良かった。見たかったミレイ「オフィーリア」も良かった。シェイクスピアの悲劇『ハムレット』の一場面。『赤毛のアン』でアンがマネをして溺れそうになってギルバートに助けてももらった場面の元ネタ。思いのほか色が鮮やかで死にかけている割にはパワーを感じる作品。他にも日本で何度か見た記憶がある作品が多々有り。ヴィクトリアンヌード展で見たフレデリック・レイトン「プシュケの水浴」とかロセッティとか。あと良かったのはウィリアム・ブレイクと同じ神々の世界を表現していたセシル・コリンズ。全く知らなかったけど、なんだかプリミティブな強さを感じて見入ってしまった。現代アートの展示室はなんだか微妙な印象。面白いのかもしれないけど、私はやっぱり“美”を感じるものが好きみたい。

「オフィーリア」と日本の提灯が印象的だったサージェント。

テートブリテンからミルバンク、ホワイトホールとテムズ河沿いをてくてく歩いてナショナルギャラリーを目指す。
思いのほか道中写真を撮らなかったのが悔やまれる・・・。

 
ビッグベン!後ろにチラリとロンドンアイ。   国会議事堂前は工事中かつ観光客が多くて混雑してた。
 
通りの向こう側にホースガース。
衛兵を撮影する観光客多し。
  ウェストミンスター寺院。
 
移動は地下鉄と徒歩のみでバスもブラックキャブも結局乗らず。   トラファルガー広場。
このどんよりとした曇り空はロンドンって感じ?

ナショナルギャラリーに到着!
特別展は「RENAISSANCE FACES:VAN EYCK TO TITIAN」
まずはランチタイム。 ナショナルギャラリーのセインズベリーウィングのレストランにて。
食べたかったものが品切れでウエイターさんお薦めの卵とベーコンのキッシュ。適量でサラダもついていておいしかった!

ナショナルギャラリーは、イタリア・ルネサンス初期から19世紀末までの西ヨーロッパ絵画が中心の美術館。所蔵作品数はルーブル、メトロポリタン美術館などにはおよばないけれど、イタリア、オランダなどの絵画が充実しており質的にはひけをとらない美術館。年代別に展示室が分かれていて、新館のセインズベリーウィングは13?15世紀の絵画。本館ウエストウィングは16世紀の絵画。ノースウィングは17世紀の絵画。イーストウィングが18?20世紀の絵画、となっている。
日本語のオーディオガイドがあったので借りて、年代順に見ていった。セインズベリーウィングは、中世の宗教画が殆ど。知識があると、退屈だった聖書を題材とした絵画も面白い。でも物語や宗教的意味のあるモチーフについてよりも、装飾と天使の表現が気になる。作者不明の「ウィルトンの二連祭壇画」。聖母と天使たちの衣服のブルーが鮮やかなのと天使の羽が鶴っぽくて印象的だった。天使の描き方がなんとなく好きで気になるメムリンクにボッスやボッティチェリの作品も有り。ピエロ・デラ・フランチェスカ「キリストの洗礼」は目玉の作品なのかもしれないけど、某漫画のヨハネさんの優しさを思い出してなんか笑けた。そしてベリーニやヤン・ファン・エイク「アルノルフィーニ夫妻像」はないな?と思っていたら特別展に移動していた。
本館に移動して16世紀、イタリア・ルネサンス絵画。楽しみにしていたレオナルド・ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」!『ダ・ヴィンチ・コード』にも出て来たあの作品!修復中?なんでかない・・・。その横に「聖母子と聖アンナと洗礼者ヨハネ」があった。初ダ・ヴィンチはデッサンでした・・。

オーディオガイドは借りたけどごく一部の作品の解説しかしてくれない。ガイドが面白かったのはブロンズィーノ「愛の寓意」。解説を聞くと道徳的なアレゴリーがあるらしいけど、表面的には子供のキューピッドが母ヴィーナスの片乳触ってキスをしているエロティックな絵。官能的な白い肌のヴィーナスは右手にキューピッドの矢を持ち、左手には禁断のリンゴを持っている。左側には頭を抱える老女、右側には笑顔でバラを今にもまきちらしそうな裸の少年、その後ろには下半身が獣の少女。それぞれ嫉妬や快楽、欺瞞などを表現しているらしい。解説を聞くと近親相姦とか当時の宮廷貴族のスキャンダラスな出来事を告発した絵に見えてきた。同じキューピッドとヴィーナスを描いたクラナッハ「ヴィーナスに訴えるキューピッド」。クラナッハの裸体の表現はスレンダーなのでブロンズィーノのようなエロティックさは感じない。ヴィーナスとキューピッドがリンゴの木から蜂蜜を取っている絵。ヴィーナスは豪華な髪飾りをつけえらく気取った表情だけど、息子キューピッドは蜂に刺されてなんともいえないうっとおしそうな顔。この対比がなんとなく笑ける。この作品にも人生の楽しみの後には必ず後で痛みが伴うといった道徳的教訓があるらしい。他にもミケランジェロ、ラファエロ、ブリューゲル、ティツァーノなどの作品有り。

手前右、クラナッハ「ヴィーナスに訴えるキューピッド」
左、ダ・ヴィンチ「岩窟の聖母」。悔しいのでルーブル版を先に見てやる!

時代が進むとかなりの量の作品でお腹いっぱいになってくる。少ないって言われても2000点以上を常設展示してるし。そしてやっぱり印象派は人気で混雑してた。17世紀の絵画は、レンブラント、フェルメールなどオランダ画家もよいけれど、やっぱりつい立ち止まってしまうスペイン画家!エル・グレコ、リベラ、ベラスケス、ムリーリョ、スルバラン!特にエル・グレコとリベラ!リベラの巧さには本当にいつもほれぼれする。ムリーリョの描く子供もいつ見てもカワイイし。
近代に入ると新しい表現を探究している、より画家の個性が強調された作品が目立ち見ていて面白い。子供の頃は、パワーのある画面のゴッホがすごく好きだったけれど、今見るとゴッホよりもゴーギャンが良いなと感じたり、セザンヌは知識として巨匠だと思っているけど、そんなに好きじゃなかったのが「大水浴図」を見てなんかすごさがわかった気がした。人物が景色になる絵ってアバンギャルド!あと、今まで興味なかったドガがすごい良かった!!空気感というか、色と筆触がなんともいえない心地いい感覚。ドガの作品もっとたくさん見たいと思った。年齢で食の好みが変わるのと一緒で芸術もその年齢でないとわからない良さがあるんやろね。
ナショナルギャラリーもテートブリテンも展示室の壁にそれぞれ色がついていて、日本の美術館にはない重厚かつ落ち着いた空間を作っていた。

ゴッホ「ひまわり」、ターナー「雨、蒸気、スピード?グレート・ウェスタン鉄道」

この日の美術鑑賞を終え、調べていたお店へショッピング。ロンドングラフィックセンターというガイドブックに載っていた画材屋さん。すごい楽しみにしていたのに、全然普通の店でガッカリ。しかも品揃えも微妙。もっと専門的な店かと思っていた。W&Nの日本であんまり見ない画材とかあったら買おうと思っていたのに・・・。何も買わず、次はお土産を探しにCath Kidstonへ。日本でも売ってるけどせっかくロンドンに来たし。ラブリーすぎて好みがあるので小物しか買えないけど。
小雨も降ってきて、少し暗くなってきたので地下鉄に乗ってハイストリートケンジントンへ移動。口コミで知ったクリームティーができる店 The Muffin Manへ。クリーム入りの紅茶ではありません。スコーンと紅茶のセットをクリームティーっていうらしい。さらにサンドイッチとケーキが付くとアフタヌーンティーになっていく。バターではなくちゃんとクロテッドクリームというバターと生クリームの中間的なクリームが味わえる店。スコーンおいしかった?!!でもスコーン2つで腹八分目。4つ目は無理矢理紅茶で流した・・・。歩き疲れてたし、まったりとした ティータイムを過ごす。でも若干店混んでたし、1人やしで、食べ終わったらすぐ出た方がいいかな?という気になる。

楽しみにしていたクリームティー☆おいしかった!

駅前にはマークス&スペンサーがあって、他にも店がたくさん。ユニクロもあった。日本で話題のH&Mもあったのでチラリとのぞいてみたけど、欲しいものは何もなし。お土産探しに少しウロウロしたけど、日本にもありそうなものばかりで何も買わず。マークス&スペンサーで晩ご飯を探すも、満腹やし、食べたいものはないしで、水とヨーグルトとクロワッサンを買って帰ったら、グロスターロード駅前でPAULのパン屋とかテイクアウェイできる店を発見。こっちで買えばよかった・・・(初日も)


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